正木 覚のふる里水彩画展

私がふるさとのスケッチを始めたのはいつの頃だったか、、、

思えば父祖の地から遠い東京で長くガーデンデザインの仕事をするうちに、

父親の亡くなった年齢(60歳)を越えたあたりから、自然と自分のルーツに

興味を持つようになり、その流れで、ご先祖さがしを始めたのがきっかけでした。

 

どうやら明治期に二代続く正木姓の宮大工が私のルーツだったようです。

地域の神社の造営にも多数関わっていたそうで、ただその仕事に打ち込むあまり、

もう一つの家業であった造り酒屋は倒産させてしまったそうです。

一度、今井須佐神社の先代宮司にお話しを聞く機会があり、

その際に、棟木飾りに棟梁としての祖父と曽祖父の名前が記されているのを

見せてもらったことがありました。

連名で墨書されたその名を見ながら私は自身のルーツへの愛着を

再認識したのです。ただ残念なことに調べてもそれ以上にご先祖の

人物像に近づくことはできず、どんな人だったかはわからないままでした。

ご先祖たちの記憶を直接に語ってくれる人とはついに、私は巡り会えない

ままでしたが、ならば今でも形に残っている社寺、ご先祖たちが目にした風景を

描いてみようと、スケッチを始める事にしたのです。

そうして私は、明治期のご先祖が造営に関わった神社を一つ一つ巡るうちに

だんだんと京築の山河の美しさに目覚める事になりました。

 

この地区は大きな災害が少ない全国でも珍しい所です。

古代から多くの人々が行き交い、様々な文明の痕跡が残っているのが

各地に見られます。その結果が京築の美しく穏やかな風景をつくっているのでしょう。

今回の展覧会では描ききれない場所がまだまだ多くあります。

そんな先祖たちが守り繋いだ風景を今後も描いて行きたいと思っています。

是非、おすすめの場所があったら教えてください。

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